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螺鈿とは大変興味深いものだと思いませんか？この螺鈿とは帯や漆器などの伝統工芸に使われる技法のひとつです。螺鈿とは模様の形に切った夜光貝やあわび貝、そのほか様々な貝類を漆地にはめ込んだものや貼り付けたものを言います。

専門的な言い方をしますと、貝だけでなく牙角類、鼈甲、水晶や琥珀、他に宝石のようなものを装飾として施すことを言います。ですが、金や銀の板金を模様に切り、透かしたものを漆の中へとはめこむというもののことは螺鈿とは呼ばないようですね。これは平脱とか、平文などといった呼び方を昔からしているようです。

螺鈿の技法はエジプトの初期王朝以前からかなり使われており、その頃のものは大変立派なものが多いです。こういった遺品を見ますと、貝の美しい部分を切ってはめ込んでいます。貝の螺鈿には埋め込み式と彫り込み式、押し込み式の、3種類の方法があります。

まず、彫り込み式というのは切りすかした文様の貝を決められた位置へ接着し、さらに貝の厚みが埋まるまで漆下地と漆を何度となく塗り重ね、貝の表面と同じ平面に研ぎだしたものを言います。宇治にある平等院鳳凰堂や、中尊寺金色堂はこういった方式のものがほとんどです。

次に押し込み式ですが、切りすかした貝の文様を最初に紙の上にきれいに仮付けします。さらに、螺鈿するものの表面に粘土状にした漆下地を厚塗りし、さきほどの紙の上に仮付けした貝を厚塗りの面につけるように押し込みます。この押し込む作業が終了すると仮付け用紙をはぎとり、乾燥させ、貝の面と漆の面とが同じ平面になるよう仕上げていくのです。なお、平等院鳳凰堂本尊の天蓋の螺鈿はすべてこの押し込み式となっています。

最後に埋め込み式ですが、こえは前もって切りすかされた貝の文様をはめこむものの表面に貝の文様の厚みの分だけ彫り込んで、その中にはめ込む方式を言います。螺鈿の代表的な作品としては蒔絵螺鈿有職文飾箱があります。この作品は東京国立近代美術館工芸館に所蔵されています。