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齋藤明という鋳金作家のことをご存じでしょうか？ここでは、彼の略歴と代表作についてご紹介します。

齋藤明は人間国宝の鋳金作家です。彼は父の指導を受け、伝統的な金属の鋳造技術を習得し、伝統を踏まえつつ近代感覚にあふれた造形を追求しており、1993年には重要無形文化財に認定されました。花巻にある高村光太郎の山荘近くにある「雪白く積めり」、成田三里塚に立つ「春駒」や、群馬草津に立つ「草津」などといった光太郎詩碑パネルの鋳造を行ったのも彼です。なお、父は東京の巣鴨で鋳物工房を営む鋳金家だったのですが、明氏が18才の頃に他界し、それ以降彼は父の弟子や友人などから指導を受けたそうです。

1949年に光太郎の弟で鋳金家の高村豊周の工房に入って主任としての実績を上げ、1993年いは重要無形文化財保持者、つまり人間国宝に認定されています。この間、光太郎の朔像の鋳金を多く手がけており、長野県にある碌山美術館や花巻の高村光太郎記念館に所蔵されている高村光太郎作品はほとんどが彼の鋳造によあるものです。なので、愛知碧南にある藤井達吉現代美術館で開催された生誕130年彫刻家高村光太郎展に展示された作品にも彼が鋳造したものがありますし、十和田湖畔の裸婦像の修復にも当たりました。

以前、連翹忌ではスピーチも行い、またその席上でこのような講演を行ったということで1997年花巻の高村山荘で行った第40回高村祭記念館講演の筆録を渡されました。その題名は高村光太郎先生のブロンズ鋳造作品作りというものです。それを一読しますと美術史上で大変重要な記録とすぐに分かり、光太郎資料に収録されます。

彼の代表作品としては、?型吹分壺「熔融賦」（ろうがたふきわけつぼ「ようゆうふ」）、ロウ型朧銀壺、蝋型朧銀香炉「月」（ろうがたろうぎんこうろ「つき」）などがあり、どれも素晴らしい作品として世の中に認められているものばかりです。ぜひ、まだ彼の作品をご覧になったことがない方は、1度ご覧になってみてはいかがでしょうか？