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山田常山という常滑焼の作陶家についてここでご紹介したいと思います。山田常山とは朱泥や紫泥、自然釉薬の他に黒色の烏泥や窯変を伴った南蛮手、備前のような火襷が走った急須などといった多くの作品を残した作家です。発色は素地に含まれている鉄分によるもので、紫泥や烏泥はマンガンなどの鉄を添加されています。作品の色に加え、造形にもかなり特徴があり、例を挙げると鎌倉期の常滑壺や甕のような方がつきだしている鎌倉形や、そろばんのタマのような胴部分が盛り上がっているそろばん玉などといった種類は100種類を超えるとされています。

成形については、ふたや本体、取手、注ぎ口などといった個別にロクロでひいた後、接着を行い、それぞれの部分は総じて薄く作られており、手取りは軽く手になじむようになっています。なお、ロクロびきの作品にはロクロの目を残したままのものもあって、櫛で線描きした櫛描き、ヘラで線を彫り込んである糸目など、装飾のさりげなさが特徴的です。さらに、茶器は茶器ならではの感触にもこだわりがあり、水簸した土の繊細な肌触りを特徴にした作品に対して素焼きの粉を混ぜて製作した梨皮手は、つやが抑えられ落ち着いた器肌と、さらっとした感触がとても魅力となっています。

彼はベルギーブリュッセル万博において大賞を受賞したのをはじめとし、日本伝統工芸展の他に日本内外へ多くの作品を出品し、受賞してきました。1998年になると国の重要無形文化財常滑焼の認定を受けたのです。急須という限られた作陶の中で彼は造形の多様性といった一面を持ちつつも常山作とすぐに分かるようなオリジナリティを持った作品を多く作りました。特に、鎌倉形で薪の灰を被った自然の釉薬での作品については、常滑焼きの品のよさが詰まっており、機能美と品格を兼ね備えた現代の常滑焼の一面を感じることができます。

彼の代表作としては梨皮朱泥茶注 などが有名です。ぜひご参考になさってみて下さいね。