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氷見晃堂は木工芸の重要無形文化財保持者に認定されています。木目を際立たせる美しい仕上げの技法は当然ですが、木工芸に一生を捧げることをいとわなかった天才とも言われています。

石川県金沢市に生まれた彼は小さい頃から金沢の美しい街並みや、金沢の工芸品などにふれながら感性を磨いていったのです。商人の家に生まれながら指物師に弟子入りし、さらに木工家であった池田作美に師事しました。そのことにより、木工芸の道を歩くことになったのでした。

砂磨き法という技法は、江戸時代まで使われていた技法であまり手間がかかるため廃れていきました。木材で砂を磨くことにより、柔らかい部分をすり減らしていき、さらに硬い年輪の部分を浮き上がらせるという行程を復活させて、彼独自の作品の特徴として使い始めました。

松田権六の指導により金銀線縮れ象嵌というものを発案し、数多くの功績を木工芸を通じ残しました。彼の初期の頃の作品にはとてもきらびやかで華やかなものが多いですが、作品を作っていくうちに木の持つ自然な美しさをより店るため、自然な作品を多く生み出しています。一目見ると彼の作品はシンプルですが、輝きや滑らかさは他にはない見事な雰囲気があります。自然の美しさを感じつつもその自然な姿はまさに奇跡といってもいいものです。

さらに、名声や地位などを得た晩年には、そこで華麗な象嵌などを作ってまた味わい深い作品を生み出し続けていきます。また、机や棚、風呂先などを多く作っており、彼の作品は非常に高評価を得ているのです。柔材を中心に使っていることから、劣化も少なく頑丈であることも魅力の１つでしょう。彼の作品が今後も高い評価を得続けていくことは間違いなさそうです。

氷見晃堂の代表作には、桑造線象嵌軸箱（くわづくりせんぞうがんじくばこ）、大般若理趣分経之箱（だいはんにゃりしゅぶんきょうのはこ）、唐松砂麿短冊箱（からまつすなみがきたんざくばこ）、線象嵌平卓（せんぞうがんひらしょく）などがあります。