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東京国立近代美術館に作品が所蔵されている藤沼昇さんですが、彼は日本伝統工芸展で日本工芸会長賞を受賞し、紫綬褒章も受章するなどといった、日本国内でも高評価を得ています。ですが、むしろ彼の名前は海外での方が有名だと言ってもいいでしょう。

15年程前にアメリカからエージェントが来て、彼の竹工芸を人目見て感動、展開していきたいと思ったとのことです。さらに、2001年以降はシカゴのアートショーに毎年出品するようになりました。文字通りそこはアートが集まる場所であり、このアートショーにモディリアニの絵画が出品されたいたこともあるそうです。160店舗ほどが出展して作品を購入できるアートショーで、彼の作品も高評価を得ています。

このように、アートととらえられている彼の作品の数々は、力強く迫力のあるものばかりで、この迫力を生み出しているのが緊張感です。この緊張感はどこから来るのかと言えば、竹に近づくことだそうです。自分の意志で作るより、竹を活かして作りたい、人間が強引に作ろうとするのとは違っていて、たとえば明治時代の竹と現在の竹では環境などにより微妙に違います。なので、明治時代と同様の作品を無理やり作ろうとしても、実際には竹が折れてしまったりするので、現在の竹に合った作品を作る必要があるそうです。

彼が製作した花入れも竹の節を活かしデザインされたもので、かごには使えない竹ですが、むしろその節を使うことにより緊張感あるデザインが生まれるのでしょう。彼が常に作家として心がけていることとは、日本人として徹底的に強く世界にアピールすることだそうです。それができるのは文化だけであり、文明とはどこでも追いつけるが、文化はその国独自のものであるので、竹工芸を通じて日本という国を世界にアピールできるといい、と考えているようです。

彼の作品には、女竹花籃「陽」（めだけはなかご「よう」）、束編花籃「豊春」、束編花籃「喜」、網代盛籃（あじろもりかご）、網代編盛籃「創」などがあります。