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濵田幸雄と土佐典具貼紙 略歴

カゲロウの羽、とたとえられる土佐典具貼紙は、非常に薄く丈夫であり、柔らかい手すきの和紙です。品質の高い楮を原料とし、丁寧に準備をして不純物を取り除いて長い繊維を絡めて均一で薄い紙をすきます。明治13年にはいの町手すき和紙中興の祖である吉井源太さんの指導のもと、同町神谷の勝賀瀬亀太郎という人がすき始めたそうです。その後、海外の展覧会に出品してタイプライターの用紙であるTosa Stencil Paperとして高評価を得ます。

高知県いの町で作られるすべての和紙がすべて輸出されるようになり、1835年以来紙をすく濱田家に生まれた彼は戦後負傷した長男の代わりに濱田秋吾氏から紙すきを薦められたのは、いったん中断されていた輸出がふたたび始まった昭和25年頃だと言われています。その当時、商船学校に入学することが決まっていた彼ですが、数人ほどの紙漉き職人を雇い、紙すきを行っていた濱田家の後継者になることに躊躇しませんでした。

父や職人さんよりいい紙をすかねばいけないと自分に言い聞かせた彼は、昔ながらの技法を自分なりにアレンジして自分の紙漉きを確立していきました。あいつは水に負けんと職人仲間を驚かせた彼の紙漉きの技法は激しく水を動かして繊維が溶けきっていない塊がつかないようにするという技法です。簀桁の水は60センチほどの高さに跳ねて、その写真を見た人が驚いてびしょ濡れで紙を漉きゆう、とまで言ったそうでです。6年ほどで誰にも負けない典具貼紙を漉けるようになった頃こそがまさに典具貼紙をはじめとし、手漉き和紙の全盛期だったと言えるでしょう。

いの町の中には200軒もの手漉き和紙業者があり、500人程度の職人がいたそうです。伯父が住んでいるいの町の神谷から、加田にかけても集落のほとんどの家が家で典具貼り紙を漉いたり、紙漉きの作業場で働いていたりしたいたそうです。当時は0.03ミリの普通の典具貼り紙は薬液加工した後、海外向けタイプライターの用紙、にさらに厚い中厚口と厚口はコーヒー豆の焙煎用フィルターに加工されていたそうです。

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