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民芸風の作風として有名な作家に濱田庄司がいます。彼は民芸陶器の人間国宝のためよく間違われるのですが、濱田庄司の作品は民芸陶器ではありあません。彼は神奈川県川崎市に生まれ、溝の口駅の南口には生誕碑があり、1913年に板谷波山が教鞭をとっていた東京高等学校の窯業科に進学。

波山邸では益子の山水土瓶を見たようです。卒業した後は京都市陶磁器試験場に就職し、そこは高校の先輩であった河井寛次郎と同じ職場であり、この時期に柳宗悦や富本憲吉、バーナード・リーチ氏と出会います。そこに河井氏を含んだ5名が主になって民芸運動を推進していったのです。

1920年に濱田氏はバーナード・リーチ氏とイギリスにわたり、セント・アイヴスに西洋で初めての登窯を開きます。この窯はリーチ・ポタリーと呼ばれ、その後セント・アイヴスは芸術家たちが集まる芸術村に発展しました。ここでスリップウェアの破片が出土され、濱田氏によって日本に持ち帰られました。

また、工芸家の集まるディッチリングにも滞在。1923年には初めてロンドンで個展を成功させたのです。 1924年に帰国後は30歳で彼は益子に移住することになり、その頃沖縄にも長期滞在して琉球赤絵の作品を作っています。この作品は質のよさだけでなく数が少ないため貴重な作品として評価されています。

なお、彼の作品は厚手のものが多く柔和な雰囲気が漂っており、親しみのある柿釉や深みのある黒釉などといった数多くの釉調が見られ、代表的なものとしては釉薬をひしゃくでかける流しかけや、とうきびもんなどがあります。この流しかけは大皿によくみられるもので、直線的であり豪快に流しているものもあれば流線型で波線や円を描いたものもあり、さらに 唐黍紋は偏壷や湯呑、茶碗などに見られます。なお、白化粧や窓絵の余白部分に鉄絵や赤絵、緑釉で描かれている唐黍紋は彼のトレードマークであり、度重なる沖縄での作陶の際に取り入れたとされるモチーフだそうです。彼の代表作としては鉄絵茶碗などがあります。