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中国美術は、新石器時代に彩文土器とよばれる図形や人物などを記号のような形で表す形から始まりました。こうした記号、文様はその後の殷や周の時代に用いられた青銅器に見て取ることができます。その後秦、漢の時代になると王族や貴族の墓を彩るために壁画が制作されるようになりました。しかし度重なる戦乱や王朝の交代によってこれらの壁画は失われ、現在では見ることができません。宮殿や仏教寺院などの壁を彩る壁画も同じことで、その傾向は南北朝時代まで続きます。中唐時代になると山水画や水墨画が主流になっていきます。こうした作品は知識階級である文人に愛好され、文人画と呼ばれるようになりました。

こうした文人画は日本にもたらされ、鎌倉時代の文化の礎になっていくことになります。南北朝が終わると随が全国を統一し、唐が7世紀から10世紀初頭まで長期にわたって中国を支配することになります。このころローマに至るまでの大帝国が築かれ、ササン朝ペルシアのイラン文化、ビザンツ帝国やイスラーム世界と交流を結ぶようになりました。長期に渡る支配は国に安定をもたらし、詩の分野では王維や李白、文学では柳宗元や韓愈らが活躍しました。絵画の分野では山や川、渓谷など幽玄な世界を描く様式が流行し、呉道玄や王維が活躍しました。その後宋では絵画と焼き物が、明では大衆文化が、清では西洋各国との交流などから多様な文化が花開きました。現代においてもその世界経済での注目もあって、中国の現代美術に注目が集まり、さまざまなアートイベントが行われています。

中国はその長い歴史はもちろん、東西南北に接する国々との交流を通して多様な文化を形成してきました。それはシルクロードを通したインドやペルシア、ギリシア、ローマといった国々との交流を通したものもあれば、北方の騎馬民族との争いから培われたものもあります。その多様な表現は現代の私達も惹きつけてやみません。