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有限会社スタックスは、1938年に創立されたオーディオメーカーです。かつてはスピーカー、マイク、CDプレーヤー等と幅広い製品を製造していましたが、現在ではヘッドフォンと関連機器のみを製造しています。

スタックスのヘッドフォンの特徴は、コンデンサー型であることです。2枚の金属板（固定極）から音が出るように多数の穴をあけ、間に「振動膜」と呼ばれる振動板を配置します。そして、固定極に電圧を加えて振動膜を振動させて音を出します。メリットは、非常に軽い振動板を使用することで、音の立ち上がり、応答性に優れ、非常に繊細でクリアな音が再生できる点にあります。ただし、固定極に信号電圧（最大300-600V）を供給しなければならないため、通常のヘッドフォンジャックにつないでは音が出ません。そのために電圧をかける装置が必要となり、これが同社でイヤースピーカー用の『ドライバーユニット』と呼んでいる専用アンプです。

イヤースピーカーと書きましたが、これはスタックスのこだわりであり、スピーカーに負けない再生音を実現することと、ヘッドフォンでしか出せない音場を再生しようという目的が込められているわけです。そんな強いこだわりと徹底した音質追求のため、スタックスのスピーカーは低価格のものでも2，3万円しますし、ハイエンドモデルの価格は30万円以上です。

その音質は、分解性能に優れ、引き締まった低音からよく伸びる高音、自然な音場再現を実現しており、まさに究極のヘッドフォンであるとの評価が多くあります。「同じ音をスピーカーで再生するには、あと2ケタ金額が増える」と言われるぐらいです。ただし、製品自体は密閉型の大きなものですから、携帯性や周囲への音漏れ等は考慮されていません。あくまでも、静かな部屋で音楽を楽しむユーザー向けのヘッドフォンです。また、購入してすぐに本来の音は出ず、1ヶ月ほどの「エージング」が必要です。まさに、使いこなすためのヘッドフォンですね。