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新聞などで取り上げられたことをきっかけに年間50足程度だったところに注文が殺到、現在では1年以上も注文待ちとなっている千葉刑務所のオーダーメイド紳士靴。 大変良質な靴ですが、安いというだけで終わることのない靴です。

千葉刑務所は刑期8年以上の犯罪者を収容する男子刑務所で、初犯の人もおり、著名な受刑者や有名事件の受刑者も多数いるそうです。 刑期が長いため、比較的高度な技術を習得でき、現在革工には53人の受刑者が就業しており、紳士靴や婦人靴を製作しています。 その中の一つがハンドソーン・ウェルテッド製法のオーダー紳士靴です。

革靴、特にちょっとお金に余裕ができ趣味になった頃、高級ブランドの名前とともに魅力的に感じるのがこの製法です。 ハンドソーン・ウェルテッド製法とは、機械によって大量生産が一般的な現在、ただ手縫いというだけでもてはやされるものです。 実際に、手縫いによる良さは確実で、しっかりと作られた手縫いの靴は足に吸い付くようなフィット感があります。

フォルムについても機械ではあまりできない立体的なものが作れるので、一見してとてもいい靴だとわかります。 ですが、ただ履き心地を左右するのは単純に製法だけでなく、木型であったり、紙型や製甲の底付け過程の芯材などといったいろいろな要因が影響しています。 逆に言うと、そういったものにちゃんと手間とコストをかけられれば大量生産が可能な機械によってグッドイヤー・ウェルト製法によってはき心地が詰めていけるということです。

日本で手縫いの靴となると、需要が限られてきてさらに求めるものも多くなります。 もちろん、材料費や手間、職人などをその靴のために確保する必要があるので、結果的に価格が上がります。

手縫いだから、機械だからというだけで良し悪しが決まるわけではありませんが、結果としては手縫い靴の方が求められるものも高くなって、価格も上がるのです。 この千葉刑務所のオーダーメイド紳士靴で代表的なものが、甲革アノネイ黒のパンチドキャップトゥです。