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世界で初めてプラモデルを発売したのは、イギリスのIMA。ゴム動力でプロペラを回して飛ばす模型飛行機を作っていた会社ですが、1936年に、組み立て式の飛ばない飛行機模型を発売します。材料はアセチルセルロース。世界最初のプラスチックであるセルロイドの危険な欠点（発火性）を解消した新素材でした。 　同じイギリスで創業した玩具メーカー Airfix も49年、アセチルセルロースを使ってトラクターの模型を作ります。農機具会社の販促用でしたが、後に組み立て玩具として一般販売されました。54年からは現在のプラモデルと同じポリスチレン（スチロール樹脂）を材料とし、海賊ドレーク船長の乗艦ゴールデン・ハインドや、救国の戦闘機スピットファイアを発売。以来60年代にかけてミリタリー関連のスケールモデルで好評を博し、盛んに輸出も行なって業績を伸ばしました。さらに製品のラインナップを拡充し、技術面も向上させて、70年代中頃には一大総合玩具会社、世界でも屈指の模型メーカーに成長します。

　この時期にエアフィックスが送り出した製品は、まず1/72スケールのエアクラフトモデルが多数。キットとしての精度は高いとは言えませんでしたが、スケールモデル製品に不可欠なデフォルメのセンスにおいて優れたものがあり（実物を単に正確な縮尺でスケールダウンしただけでは、かえって元のスタイルやイメージとかけ離れた模型になってしまうことが少なくありません）、マニア好みのセレクションとも相まって、今も多くの愛好者がいます。日本では玩具メーカーの永大やトミーが輸入販売していました。

　AFVモデルでは、イギリスの鉄道模型に多い00規格（1/76）の製品が日本でも人気。同じスケールで各国の様々な時代の兵士や、カウボーイ、あるいは 中世イギリスの義賊ロビン・フッドなどのフィギュアも販売されていました。艦船は1/600に統一されたイギリスの船が中心。カーモデルは007の母国だけに1/24アストンマーチンDB5が有名。日本が舞台の『007は二度死ぬ』に登場したトヨタ2000GT、組み立て式武装オートジャイロ〈リトルネリー〉も製品化。ジェームズ・ボンドが世界的に大ブレイクした映画『ゴールドフィンガー』のフィギュアキットもありました。

　この他、イギリスが世界に誇るジェリー&シルビア・アンダーソンのSF作品『キャプテン・スカーレット』『スペース1999』から、美しい戦闘機エンジェル・インターセプターや多用途宇宙船イーグル。BBCの長寿SFドラマ『ドクター・フー』のシリーズ。イギリス出身の作家アーサー・C・クラークが携わった『2001年宇宙の旅』のパンナム・スペースシャトル〈オリオン〉など。近年では日本のアニメ作品『ストラトス・フォー』の超高高度迎撃機TSR.2MSがモデル化されていますが、この原型機TSR-2は、かつてブリティッシュ・エアクラフトが開発した試作爆撃機でした。 　プラモデル発祥の地、英国の誇り高いエアフィックス。1981年に一度倒産し、その後幾度か買収されながらも、資産である多くの金型から再生産を行ない、新製品の開発も絶やさず、イギリスの鉄道模型会社ホーンビィの傘下で今もそのブランドを守っています。日本では現在GSIクレオスが輸入、本国版パッケージで販売中です。