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沈金という技法のことをご存じでしょうか？ ここでは数ある技法の中でも沈金についてご紹介したいと思いますので、ぜひご参考になさってみて下さいね。

沈金とは漆器に絵や模様をつける加飾技法です。 蒔絵という技法を知っている方は多いでしょうが、そのほかにも沈金や象嵌、彫漆、存清などがあります。 漆器の産地によってその技法にも特色がありますが、ここでは北陸地方、たとえば輪島や越前、山中、川連、会津若松などで行われている沈金について書いてみましょう。

沈金はまずはじめに、沈金ノミと呼ばれる道具を使って漆器の票ねに絵柄を彫っていき、さらにその上に漆をひき、その中に金粉や金箔を入れていきます。 このとき漆が接着剤の役割をするので、漆器の表面をふき取ってみますと、彫ったところに入った金だけが残って絵柄が金色に浮かびます。 それがまるで金が沈んでいるかのように見えるので、沈金と呼ばれているのです。

沈金は点と線によって絵柄が構成されており、蒔絵とはまた一味違った趣があり、漆塗りの表面に彫刻を施して加飾する沈金の歴史はかなり古く、技術の始まりは千年も前に中国で生まれた槍金の技法だと言われています。 この槍金の技法が日本に伝わったのは約700年ほど前の南北朝時代だと言われていて、漆塗りの経典箱に槍金が施されたものが今でも残っているそうです。 さらに、江戸時代享保年間に輪島で大工五郎兵衛が槍金にヒントをえ、大工のノミによって刃で塗り物に彫刻したのが沈金の始まりだそうです。 その後、職人たちが京都に上京し、絵を習って沈金の技術を習得、沈金の基礎となりました。

輪島においては江戸時代から名工を次々と輩出しており、漆器の名産地へ出向いて行って技術を広げていきました。 越前の漆器の産地へも技術を伝承していて、現在では越前には日展作家である富田立山氏のほか、若手からベテランまで数々の沈金の作家がいます。 沈金の主な作品としては、鳥家清氏の沈金飾箱　緑風などがあります。