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木工芸は原始時代から作られてきましたが、木材の特色を表現している日本独自の工芸の感覚が作られたのは平安時代以降だと言えるでしょう。茶の湯の流行によって日乗生活用品の木工芸品のすばらしさが注目されて江戸時代になると全国各地で特色のある製品づくりがされるようになります。その素材としては、けやきや柿、くわや杉、桧、桐などといった軟木や、しだんなどの南方からの輸入材などをさす唐木に分類できます。

その一方で、技法としては指物やくり物、彫り物、挽き物、曲げ物などに大きく分けられ、それぞれの分野ごとに違った素材と技術が使われています。たとえば、指物についてですが、釘を使わず凹凸を組み合わせていく技法であり、室町時代には大工職人から派生し、専門の職人が誕生しました。さらに、茶道が発展するとともに調度品類と茶道用品に別れ、また木工技術については仏壇や建築などで使われています。産地としては、樺細工（秋田県）、加茂桐箪笥（新潟県）、大阪欄間（大阪府）、江戸指物（東京都）、箱根寄木細工（神奈川県）、南木曾ろくろ細工（長野県）、紀州箪笥（和歌山県）などがあります。

木を使って伝統工芸品を作るのが木工工芸家で、最近では手作りの工芸品は大量生産されるため姿を消す傾向にありますが、逆に貴重な存在だと言えるでしょう。木工工芸品には箱類や鏡、額類、引き出し類、家具、茶道具などがあって、手法についても上で述べたように地域によって様々ですが、伝承文化継承といった意味からもかなり注目を集めています。大量生産品では決して味わえることのない、その作者ならではの魅力ある作品の数々は非常に価値の高いものとされ、木工工芸の良さも最近は見直されてきています。店舗や住宅などのインテリアとしての木彫室内装飾や、社寺建築彫刻、木彫看板などの仕事もあります。