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デビアスとは一介のダイヤモンド販売業者のことですが、その規模は巨大でダイヤモンド業界のガリバーとでも言うしかないでしょう。国家でもなく、一企業がダイヤモンドの流通のほとんどを握っているというわけです。さらに、その経済力はと言うと、一つの国家と渡り合って勝ったほどです。ここでは、ダイヤモンドを語る上ではずせない、デビアス社について書いてみたいと思います。

ダイヤモンドの一大転換期は18世紀半ばのことです。その当時、インドはもちろんですが、ブラジルのダイヤモンド資源に陰りが見えてき始めていました。ですが、南アフリカに大きなダイヤモンド鉱山が発見されたのでした。膨大な埋蔵量に裏打ちされた南アフリカにおいてのダイヤの生産と発掘量は伸び続けましたが、それと反比例して希少性が低下してしまい、価格が下がっていったのです。

なので、業者は減益分をカバーするため、より掘削量を上げてしまい、さらに価値の低下が起こってまた掘削量を上げ、という悪循環が起こってしまいます。この悪循環に歯止めをかけようとした、ユダヤ人のセシル・ローズが作ったのがデビアス社だったわけです。では、ダイヤモンドの価格を安定させるためにどうすればいいのか？ということでデビアスが行ったのはダイヤモンドの原石を独占するというものでした。

実質的に次々鉱山の買収を行って、当時全流通量の9割程度をこのデビアス社が所有する鉱山が独占していました。ですが、その後のダイヤモンドの歴史を変えてしまうほどのプレミア鉱山が発見されたのです。その生産量たるやプレミア鉱山一か所だけでデビアス社の全鉱山並みで、その他にも発見された大型鉱脈によって9割程度あったものが4割程度にまで低下してしまいました。

ですが、全生産量の4割というのは価格統制や出荷統制に対してじゅうぶん過ぎるもので、デビアス社抜きにしてダイヤモンドの流通は語れない存在になりました。