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タンノイは、1926年に創業されたイギリスのスピーカーメーカーです。主力製品はスピーカーで、現在製造されているスピーカーにはトールボーイ型の現代的な外観のものもありますが、やはり古くからのタンノイファンを満足させるのは、「PRESTIGE」モデルに代表される、木目を生かした古き良き時代を感じさせるスピーカーです。

タンノイの技術的特徴は、高級機種では一貫して同軸2ウェイ式ユニットを使用していることです。これは、音をウーファーやツイーター等に分散させると、音の定位が定まらない弊害を克服できるという利点があります。つまり、低音も高音も、同じ場所から出てくるスピーカーであるわけです。語り継がれる名機としては、1950年代発売の「オートグラフ」です。発売当初から高級スピーカーとして、クラシック再生を中心にオーディオマニアに愛用されました。なかでも、作家五味康祐氏が生前愛用していたオートグラフは、廃棄処分の憂き目に遭うところを、練馬区役所の叡断によって救済され、現在でも大切に保管され視聴も可能です。

音楽ソースとの相性としては、クラシックにはタンノイがよく合うと言われます。すなわち、伸びやかで艶のある弦楽器、豊かな中音域、ふくよかな音場再生などが特徴です。かと言って、全くジャズには合わないかというと、好みもありますが、ピアノウッドベース・ドラムで編成されたようなジャズ再生は無理なくできるでしょう。なお今では、タンノイはホームシアター時代に合わせ、先にあげたトールボーイ型だけでなく、センタースピーカーやリアスピーカー等も製造しています。

1996年には、創業70周年を記念した、1本480万円する受注生産品「KINGDOM」も発売されています。そんなフラッグシップモデルも含め、どの製品も木目を生かした落ち着いたヨーロピアンデザインで、伝統のタンノイらしさは失われていません。部屋の灯りをちょっと暗くして、お気に入りのレコードにそっと針を下ろす。流れてくる静かな音に耳を傾けると、いつしか雑念が消えていく。そんなイメージがわいてきます。