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海外のジャーナリストはしばしば日本にはグランドセイコーがあってうらやましいと言います。グランドセイコーは言うまでもなくセイコーの最高峰モデルです。初めて発売されたのは1960年の冬のことで、以降半世紀以上もの年月をかけグランドセイコーは日本製腕時計の代名詞とも言われるまでになりました。その結果、上で述べたような評価を受けることになります。

腕時計には二つの方向性があり、ひとつは実用性の追求で、もうひとつは高級感の追求でしょう。作り方は全く違っており、前者は壊れないよう、後者はきれいに見えることを目指すものです。では、グランドセイコーではどうでしょうか。究極の実用時計をうたうこの時計では、一貫して実用性を高める進化をしてきました。ですが、面白いことに細部を見てみますとグランドセイコーの作りは高級時計のそれとなっていて、実用時計に高級時計の技術を盛り込んでいます。いわゆる実用時計を作るメーカーにとっての夢と言えるでしょう。さらにそれをもっともうまく行っているのがこのグランドセイコーなのです。

そのグランドセイコーに62GSという限定コレクションがありますが、これは1967年のモデルのデザインを活かして新しく作り直したモデルです。一部のデザインは受け継いでいますが、中身や仕上げについては全く別物となっています。このモデルの特徴となっているのがケースと文字盤、さらに針でしょう。

まずケースですが、グランドセイコーのケースの鏡面はすべてザラツ研磨という手法で磨かれています。この手法を使うと歪みのない鏡面が得られるいっぽうで、注意深く作業しないとケースの角が丸まってしまうデメリットもあります。仮に角を丸めてもよければ歪みのない鏡面を与えるのは困難ではないでしょう。ですが、グランドセイコーの場合には歪みのない鏡面と、切り立った角の両立が必要なのです。そのため、半世紀近くもザラツ研磨といった手間の非常にかかる仕上げ手法が採用されているのです。