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FACOM（ファコム）は、フランスの総合ツールメーカーです。1918年にエンジニアのルイ・モーセがパリの中心地に新しく開発したレンチ「「Lacheze」の販売を目的としたワークショップを設立したのが始まり。その後第二次世界大戦時の好況を受けて、どんどん業務規模を拡大させていきました。そして、1960年代には総合ツールメーカーとしてヨーロッパでシェア第一位の地位を獲得し、エンジニアたちに愛されるメーカーとなったのです。2006年にFACOM社はアメリカの「スタンリー・ブラック＆デッカー」の子会社となり、ヨーロッパのみならず世界100か国以上で愛用される存在になりました。

主にスパナやラチェットハンドルといったエンジニアが使用する工具、航空宇宙、電子機器といった工業用メンテナンスで使われる製品の開発・販売が中心です。日本で特に評価が高いのがFACOM社のラチェットハンドルです。ラチェット機構において性能を決めるといっても過言ではない部分が「ギア数」。FACOM社のラチェットハンドルは72ギアになっており、1周の360°で72回ラチェット機構が働くので、5°ハンドルをひねるだけでトルクが作動する計算になります。そのため、細かいパーツが入り組んだ車の整備においては、少ない手の動きでネジやボルトの締め付けができるラチェットハンドルは非常に重宝する存在なのです。また、平均的なラチェットハンドルの許容トルク値は20〜70kgなのに対し、FACOM社の製品は235kgの許容トルク値を誇っているのです。そのため、高トルクに弱い製品が多いラチェットハンドルの中でも非常に強度があり、世界中のプロエンジニアが、FACOM社のラチェットハンドルを高く評価しています。

また、「ファーストアクションレンチ」というコンビネーションレンチも有名。この工具は、スパナの片方のアゴを削ったことでまるでラチェットのようにスパナを使うことができるのです。そのため、スパナでありながらボルトやナットの締め付け作業スピードを大幅に上げることができ、作業者の負担を軽減できるとして、ラチェットハンドル同様人気が高い工具になっています。