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タニオ・コバといえば、もとMGC副社長だった小林太三氏が社長を務めるエアガン・モデルガンのメーカーです。いまやトイガンの世界においては伝説の存在ともいうべき同氏。その製品ラインアップには大きなこだわりがありました。

MGCといえばずっと発火式の独自モデルガンで名を知らしめていた会社ですが、そこへ小林氏がガスガンを開発し持ち込んだわけです。リキッドチャージ方式で最初にブローバックハンドガンを実現させたのも同氏でした。でも、それが小林氏のMGC退社のきっかけとなり、皮肉なことにMGC自体の衰退にもつながってしまったとの見方もできます。ただ、こんなところにも小林氏の先見性や技術に対する鋭い力量などを伺うことができる気がします。

タニオ・コバは何しろ小さなメーカーで、出されているエアガン製品も非常に少数。製品が確かなものだけにそれだけが残念な点でしょうか。常時販売されているエアガン製品も数は多くありません。値段も同種の他社製品に比べれば高めになります。

なにしろプラスチックが主体のトイガンでは成型するための金型が必須で、それが大変な金額のかかるものです。会社の規模や原価、組み立ての手間などを考えればどうしても数量を限定し、割高なモノとならざるをえないでしょう。でも、それだけに製品の質の高さには妥協をしないわけです。

タニオ・コバのエアガンの特徴はガスブローバックへのこだわりといってもいいかもしれません。もともとモデルガンの発火式ブローバックメカニズムへのこだわりで名を成した方ですので、エアガンにおいてもリコイルの重厚感やオートマチック特有の細かなメカの持つ楽しさに対するこだわりは並みのものではありません。

また、BB弾の発射性能でも、電動式に劣らない性能を目指し、命中精度にも気配りすることを忘れません。その代表がM4カービンのシリーズでしょうか。特にこのモデルは、外見や仕上がりなどで実銃を相当意識したものとなっています。値段はやや高めながらも、持っていて損のない一品ということができるでしょう。

また、タニオ・コバでは完成品のエアガン以外にも東京マルイ互換のパーツなどを意識的にデザインして出したり、自社品に他社のパーツがつけられるようにしたり、ということを積極的に進めているようです。これも前述の、規模の小さなメーカーが持つ弱点を強く意識したやり方といえそうです。つまり、部品の種類＝金型の種類を増やすことができない、という状況を意識し、得意な部分だけに専念するとともに他社とのコラボを進めるというやり方なわけです。このあたりにも業界のあり方を知り尽くした知恵といったものが感じ取れる気がします。