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　山田貢(やまだ　みつぎ)は昭和後期〜平成時代の染色家です。 　明治45(1912)年に岐阜県に生まれ平成14(2002)年死去されました。 　友禅の重要無形文化財保持者(人間国宝)でもあります。

　岐阜県岐阜市に産まれた山田貢は、14歳で友禅作家中村勝馬に師事し手書友禅、ろう潔の技術を学びます。 　昭和4(1929)年には山田貢は師である中村勝馬に同行して上京しますが、昭和20(1945)年には中村勝馬と共に山梨県に疎開します。 　昭和22(1947)年には第32回仁科展工芸部に初入選し、昭和26(1951)年には友禅作家として独立しさらに友禅の技術の研究と研鑽に励みます。特に友禅染め誕生時の品格ある友禅を理想として能装束・狂言装束の意匠・文様の研究も行います。

　昭和32(1957)年には日本伝統工芸展に出品、昭和52(1977)年の第24回日本伝統工芸展では能装束にヒントを得て制作した作品「夕凪」が奨励賞を受賞します。 　昭和56(1981)年には日本工芸会主催の「茶屋染帷子」の復元にも携わります。 　昭和57(1982)年には世田谷区特別文化功労者として表彰され、昭和58(1983)年には勲四等瑞宝章を受章します。 　これらの功績と技術が認められ山田貢は昭和59(1984)年には友禅の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されます。

　山田貢の作品は現代感覚の中に優雅な味わいを感じさせられるものです。 　スケッチをもとにした松文、麦穂文、波文、魚文などの自然物の他、網干文に代表される人工物、さらには古典的な巴文を題材に糯糊による糸目、せき出し、叩きの各糊を巧みに用いた表現と、力強い線による大胆かつ簡明な意匠は高い評価を集めています。

　また、平成2(1990)年には第2回「茶屋染帷子」の復元事業にも参加し、糸目糊の研究にも専念したことから、山田貢の作品は糸目友禅の線の構成による独特な意匠も手掛けられるようになりました。 　糸目友禅の非常に細やかな糸目の線で集合された図案の作品は大変躍動感と迫力のある素晴らしい作品となっています。

山田貢は昭和43(1968)年には日本工芸会常任理事、染織部会長に就き、昭和46(1971)年から8年間東京藝術大学美術学部の教員、昭和62(1987)年金沢美術工芸大学の教員となり後進の育成にも尽力されました。