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水指は、水差、あるいは水壺や水器とも呼び、茶道をたしなむ茶席で茶釜に入れるための水や、茶筅、茶碗などの他の茶道具をすすいで洗う水を貯めて入れておくための容器です。炉（ろ・茶席の床を四角く切り灰を入れ、火を焚いて釜を沸かす）や、風炉（ふろ・釜を沸かす炉で、だいたい5月初旬から10月末まで使用する）など茶席の形式によって水指の扱い方は変わってきますが、主に点前畳の中央に置いたり、棚に入れたりして使用します。

中国から茶道が渡来したばかりの時代には、唐銅（からかね）製のものがメインで、わずかに青磁の水指がある程度でしたが、次第に茶人らの好みに応じて、土物と呼ばれる陶磁器製のものが用いられるなど水指のジャンルが拡大され、桃山時代以降現在に至るまで、様々なバリエーションの材質、形状の水指が使われてきました。その水指は、主に素材材質による分類と、形状による分類で以下のように大きく分けることができます。

1) 素材や産地別の分類

1.金属：唐銅、真鍮、砂張（さはり・銅と錫の合金）など/ 2.陶磁器（中国系）：青磁、染付、呉須、祥瑞（しょんずい）、安南（中国南部やタイ・ベトナム製）、デルフト（オランダ製）など/ 3.陶磁器（朝鮮系）：三島、高麗、御本手（ごほんで）など/ 4.陶磁器（国焼・京焼）：伊賀、信楽、丹波、備前、織部、瀬戸、唐津などの国内の窯でやかれたもの/ 5.木・竹製品：手桶、曲物（まげもの）、鶴瓶（つるべ）など

2) 形状による分類 水指の形は中国渡来当時の唐銅製のものが原型となり、陶磁器でその姿形を模したものや、似たような形の舶来品の転用、また日本古来の民具の転用などが工夫され、その後多くの国内の陶磁窯でユニークな形状の水差が生み出されてきました。

主な水指の形状の例：寸胴（円筒形）、芋頭（里芋のように丸い胴部分に口がやや細くなった形）、末広（口が広がった形）、瓢箪、手付（上部に持ち手付きの形）、耳付（上部両側に小さい把手付きの形）など。

水指を取り扱う際の注意点は他の茶道具とほぼ同様ですが、釉薬のかかっていない陶器や木地の水指を使用する時には、点前中に表面の水分が乾ききってしまわないように、あらかじめ十分に水を含ませておきます。使用後はから拭きした後、陰干しをしてよく乾燥させるようにします。また、いずれの素材の水指の場合も箱に収納する際には、必ず本体と蓋を別々に包み、本体と蓋が直接当たらないように注意することが重要です。