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花入(はないれ)

花入とは、茶道具において花を入れて活ける器のことで、花生(はないけ)と呼ばれることもあります。 華道やいけばなの場合は、花や葉など植物の美しさを人が手を加えて創造性や作為によってさらに美しく華やかな姿に変えて表現することに重点が置かれますが、茶道における花、すなわち「茶花」の場合は、千利休(せんのりきゅう・1522年~1591年)が遺した有名な言葉「花は野にあるように、そっと入れる」というごとく、あくまでも自然の環境にあるかのようにいけることが主眼に置かれてきたため、この教えにちなんで「花入」という呼び名が一般的に定着しています。

従って、花が主(メイン)で、器である花入はそれにしたがう従(サブ)であるということではなく、茶室という一つの世界観の中で自然美を表現するときに、花と器が二者寄り添って一つの姿を創り出すことが、茶花の理想とされています。いわば、花が器を選び、器が花を待っているのだと捉えると、多種多様ある花入にも、それぞれ異なる活躍の場や価値があることにつながります。

花入は、中国では文人の心を清める器として宋の時代(11世紀頃)に登場し、日本の茶人たちも中国のこの習慣に学んで、花入を掛物(表具)と互角に床の間を飾る主役級の重要な道具として成長させてきました。茶道の歴史の中で色々な茶人が愛用し、手を加えてきた花入には非常に多くの種類が存在し、その花入の分類は、材質による分類と、形状や使用法による分類があります。

1) 材質による分類

1.金属:青銅(銅と錫の合金)、唐銅(銅・錫・鉛の合金)、砂張(さはり/銅と錫の合金で薄手のつくり)など/ 2.陶器:織部、志野、瀬戸、唐津、信楽、備前、三島、粉引、伊賀、丹波、萩焼など/ 3.磁器:青磁、白磁、染付、色絵、伊万里、京焼など/ 4.竹・木工:竹筒、竹籠、漆器、木筒、手桶、瓢箪など

2) 形状や使用法による分類

1.置き花入:最も一般的な床に据えて使う花入/ 2.掛け花入:床柱や床の間正面の壁に釘を打ち、それに掛けて使う花入/ 3.釣り花入:三日月型の受け皿を吊るし、それに活けて使う花入

主な分類方法では上のように分けられますが、広く置き花入と呼んでも、中国産の精巧で硬質なイメージの金属製のものから、日本ならではの歪んだ自然形を愛する焼き締めなど陶器のものまで、そのイメージは非常に多岐にわたり、いずれも茶道を愛する人たちによって重用されています。扱う際は、手付きの花入の手は飾りであることも多いため持たないようにし、下から本体を支えます。金属製の花入は、手の脂がつかないよう布でくるんで扱います。籠や竹筒の場合には表面は濡らさないようにし、手入れする際は乾いた布でから拭きします。また、陶磁器の花入は水をかけてすすぎ清めることができますが、丁寧に扱い、片付ける前に十分乾燥させることが重要です。

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