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日本の絵画の歴史は、奈良時代から始まります。そのころ中国や朝鮮半島から絵画技法が伝来し、それに倣って描いた作品は「唐絵」と呼ばれました。それに対し、線の表現や主題で日本的な作品を描いた作品を「大和絵」と呼ぶようになりました。このころから日本では伝来した技術と対比して日本の技術を定義づける傾向があったようです。鎌倉・室町時代に伝わった水墨画が、桃山時代には戦国大名の城を彩るために制作された障屏画という形で日本画は花開いていきました。江戸時代になると狩野派が幕府の御用絵師として活躍し、様々な名品を生み出すことになります。その後1870年代にヨーロッパから油彩画がもたらされると、「洋画」に対し「日本画」とい言葉が用いられるようになりました。

1878年来日したアーネスト・フェノロサは、東京帝国大学で哲学などを教えていましたが、その一方で日本の美術に強い関心を示していました。1882年に行った講演でははじめて「Japanese Painting」という言葉を用いて「写真のような写実を追わない」「陰影がない」「輪郭線がある」「色調が濃厚ではない」「表現が簡潔である」として日本画を評価しました。岡倉天心はこの講演に自信を持ち、1889年には東京美術学校を設立、日本画に重きをおいた美術教育を展開するようになります。岡倉天心は橋本雅邦を日本画の教師として任命し、第一期生には横山大観が在籍していました。その後岡倉天心はその思想の違いから東京美術学校から追放されますが、横山大観らと日本美術院を設立、「院展」を通してさらなる日本画の発展に力を尽くしていくことになります。

日本画の絵の具は天然の岩を砕いて粉末にした岩絵の具で、藍や臙脂など日本画ならではの色彩が用いられます。もともとは前もって明礬を溶かした水に膠を混ぜたものを引いた跡に線を引く、ぼかしをいれるなど日本独自の技法が用いられてきましたが、最近は洋画と同じく額装で発表されることも多く、日本画も現代とともに歩んでいることが伺えます。