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金属製の模型や玩具は珍しくありません。身近なところではダイキャストのモデルカー（いわゆるミニカー）。鉄道車両や飛行機、船のメタルモデルも、プラモデルほどではないにせよ、ありふれたものです。では一般に「超合金」と呼ばれる亜鉛合金製の玩具は、そういったものと何が違うのか。架空のキャラクターではない実在のメカをモデルとした〈大人の超合金〉を見れば、わかるかもしれません。

2010年に発売された最初の製品は、世界で初めて人間を月面に降り立たせたアポロ11号。正確に言えばアポロ宇宙船と、その打ち上げロケット・サターンV（ファイブ）。スケールは航空機モデルで一般的な1/144。しかし実物の全高は110mなので、超合金サターン5型の高さはジャンボマシンダーを上回る760mmにもなります。先端の緊急脱出システム、司令船・機械船、着陸船を収納した第3段、2段目、1段目と、各段を接続するインターステージが切り離し可能。着陸船は司令船とのドッキングと上昇段の分離ができ、下降段は脚が開閉。ディスプレイ台は鏡面仕上げされていて、第1段ロケットの底部に5基並んでいるF1エンジンの造形を堪能できます。アームストロング、オルドリン両宇宙飛行士の月面服フィギュアと、月面を模したプレート、アメリカ国旗付き。

次はスペースシャトル・エンデバー。同じ1/144モデル、打ち上げ時の構成でディスプレイした高さは435mm。耐熱タイルや外部燃料タンクの質感が見ものです。オービターはペイロードベイを開閉できるだけでなく、フライトデッキや軌道制御システムの内部まで再現。国際宇宙ステーションに荷物を届けるための多目的補給モジュールを搭載、リモートマニピュレーターも装備。船外活動ユニット（宇宙服）が二つ付属。ディスプレイスタンドからライトアップも可能です。

2010年に地球帰還を果たした小惑星探査機はやぶさが、翌年に1/24で超合金化。太陽電池パネルは折りたたみ可能、赤外線リモコンでμ10イオンエンジンが青白く発光します。伸展状態のサンプラーホーンと、超小型ローバー・ミネルバ付き。

新幹線０系（21型式1号車両）は1/45。外観と共に精密に再現された車内は明かりがつき、全ドア開閉、転換式座席は全席可動。運転台はおろか洗面所やトイレの個室内まで再現。運転手、乗客、車内販売員、1964年10月1日の東京駅９番ホームを模したと思われるディスプレイ台、くす玉、垂れ幕に関係者フィギュアの出発式式典セットが付属。

1954年1月24日、第1次観測隊を乗せて南極大陸に接岸した時の姿を再現した1/250南極観測船宗谷。ベル47Gヘリコプター2機は格納庫に収納可能、前部甲板のデリック可動、船内の照明も灯ります。海面プレートと氷海プレート、セスナ、雪上車、全52体のフィギュア（22頭の犬も含む）付き。

そして2013年に発売されたのは、1970年4月11日、13時13分に打ち上げられたアポロ13号。サターンVのフルセットに加え、無残に破損した機械船や、生還を果たし着水した司令船を再現できる浮き輪パーツと海面プレート、救援ヘリにフロッグマン。

手に取って遊ぶ時、そこにまざまざと浮かんでくる物語。そのためのディテール、そのためのギミック。「超合金化する」とはつまり、こういうことなのです。