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Hochst（ヘキスト）は、ドイツのメーカーです。フランクフルト近郊の実在する町の名で、マイセンの次に古い窯です。1796年に工房はいったん閉められたものの、1947年に復興されて今に至っています。注文制作が原則で数が少なく、非常に高価。絵付け師が下絵もなしに描く希少な製品であることから、「幻の名窯」ともいわれています。市場に出回る量が大変少ないので、実物にお目にかかれたらラッキーといえるかもしれません。

ヘキストの代表作の一つが「アマリエンブルグ」です。フッチェンロイターにも同じ名前のシリーズがあり、マイセンやロイヤルコペンハーゲンに同じモチーフの製品があります。ヘキストのシリーズは青い小花がとても可愛らしいのが特徴。自然の野原に咲いていそうな可憐さがあります。

「アントワネット・ブルー」もヘキストを代表する製品で、青い小花模様が好きだったマリー・アントワネットが愛したテーブルウェアとして知られています。「クルフルスト」は、コクのあるパープルピンクで家などの風景が描かれた製品。控えめに配された絵柄にやや太めの金彩のバランスが良く、ホワイトの素地を生かし、総柄でないのに大変華やかな作品になっています。カップ&ソーサーのカップの形は両端がストレートで四角に近く、ハンドルも直線を生かしたフォルム。 端正な美しさという言葉がぴったり似合います。

日本とのゆかりも深く、「京都」という美しいシリーズが制作されています。「sake cup」など、日本の食卓に必要と思われる食器がすべて揃っているという贅沢なシリーズ。そのシリーズに必要なものを型から制作してしまうところが、ヘキストの技術の高さとプライドを物語っているといえるでしょう。ヘキストは陶器人形でも「トルコの楽隊」という有名な製品があります。一体一体が衣装のひだまで非常に精巧に作られていて、人物の表情も豊かに楽隊の楽しい雰囲気を伝えています。