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博物画のひとつである動物画は、動物を科学的な観察をもとに仔細に描いたものです。科学研究のために用いられたため背景は描かず、またそれでいて観察に基づいた表現を重視するという点で長く図鑑や調査記録のために用いられてきました。

動物画ではフランドルのフランス・スナイデルス(1579-1657)が有名です。スナイデルスはアントウェルペンで生まれ、1593年にはピーテル・ブリューゲルの弟子であったことが記録されています。ヘンドリック・ファン・バーレンからも指導を受けており、またヴァン・ダイクの友人であったことからかフリック・コレクションに《スナイデルス夫妻》が残されています。

スナイデルスは1602年にアントウェルペンの画家組合に所属する親方となりローマに赴いたこともあったといいます。スナイデルスは最初花や果実など静物画を描いていたものの、後に動物を描くようになり狩りや野生の動物を描いた作品を卓越した技術で描き出しました。動物の毛皮や皮膚の質感をよく表したタッチは、ルーベンスを感嘆させたと言われています。

エドワード・リアも動物画で有名な画家です。リアはロンドン郊外のホロウェイに生まれ、株式仲買人の父親のもと裕福な暮らしをしていましたが、15歳の時に父親が破産したため徒弟奉公に出、画を学ぶようになりました。19歳の時には写生画をまとめた『オウム図譜』を出版し、写実的な画家として活躍しました。鳥類図はよくジョン・ジェームズ・オーデュボンと比較されます。短時間ヴィクトリア女王の絵の手ほどきをしたこともあると言われています。リアの鳥類図はダービー伯の目に止まり、ダービー伯の私設動物園で動物画を描くことになりました。

このように動物画は科学研究と絵画作品のはざまを行き交いながら、主要なジャンルとして確立していくこととなります。図鑑などに掲載されていることからも、ある種もっとも身近な絵画であると言えるでしょう。