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切り絵とは不要な部分を切り抜いて作品を作り上げていく繊細さが求められる技法の一つです。日本においては古代より儀式に用いられ、飛騨高山などでは奈良時代から切り絵を用いる伝統的な儀式が残っています。こうした技法は後に染物師が用いる染の型紙として発達し、京都友禅の「型友禅」から切り絵作家である京都伝統工芸者三代目蓮蔵の活躍の例も挙げられます。紙を切ってはるという点から「貼り絵」や「切り絵」と混同されたり、挟みで紙を切っていく寄席芸の切り絵と思われることが多く、こうした長い歴史があるのにもかかわらず国内での認知度はさほど高いものではありません。しかし愛好家は多く、新しい表現が発表されつづけています。

切り絵の基本は白黒のモノクロ絵で、黒い紙を切り抜き、白い紙に貼り付けるという手法で制作します。まずスケッチした絵を白と黒に染め分けて下絵を作り、その下絵を黒画用紙などに固定して、余分な部分をデザインカッターなどで切り抜いていきます。最後に裏面にのりを塗り、台紙に成る白い紙に接着して完成になります。

ほとんどが白黒の切り絵ですが、カラーの切り絵ももちろんあります。カラーの切り絵の場合は、裏から色紙を貼り台紙に接着し、台紙の方に色紙を貼り上から切った絵をずれないようにして重ねて貼った後、作品の輪郭線を台紙に写しとって絵の具で塗り、上から作品を重ねてはるなどして作品を完成させます。市販のパターン紙を用いるとさまざまなカラーの切り絵を作り出すことができます。

道具はカッターこそ工芸用で替刃式のデザインカッターを用いることが推奨されるものの、スプレーのりや水糊、カッターマットなど身近にあるものを用いて制作することが出来ます。材料も黒紙と色和紙、絵の具といった簡単に手に入るものです。そのため子どもから大人まで幅広い世代で楽しむことができ、愛好家も多くいます。切り絵の美術館もみられるようになり、その魅力は人々の心をつかみ続けています。