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自画像とは作者自らを対象とした肖像画で、油彩画やドローイングで描かれることもありますが、時に写真などの手法が用いられることもあります。肖像画は古くから存在していましたが、画家が自らの姿を描くようになったのはそう古いことではなく、古代ギリシアの彫刻家ペィディアスがアテナ像の持つ縦の模様に自身の姿を紛れこませた際、不敬罪に問われたと伝わっています。西洋ではルネサンス以降、画家や彫刻家は宗教画の群衆の一部に自らを紛れ込ませており、人物画のモデルとして扮装した自分自身などを描いていましたが、16世紀から17世紀になると自画像は公然となり重要なジャンルの一つとなっていきました。

自画像といえば自分自身を大きく描いたものが連想され、レンブラントの自画像が有名ですが、画家は自らの姿を集団の肖像に紛れ込ませることも良くありました。例えばディエゴ・ベラスケスの《ラス・メニーナス》では、王女の肖像画を描く画家として画家本人が描かれており、「王の画家」としての自己顕示が示されています。こうした自画像は画家の虚栄心や自己愛、地位誇示の反映であり、のちには自己の客観視を通じた自己探求や自身の理想化、自己の内面や存在の表現などが目的となっていきました。

また古くはカラヴァッジオが《病めるバッカス》など自らがモデルに成った絵画を描きました。こうした変装自画像は20世紀になるとシンディ・シャーマンや森村泰昌らがこの手法で自らを映画や絵画の人物に仕立てています。

自画像は、画家としての姿かたちを表した自画像と画家自身の精神や心理まで露わにしようとした自画像の２つがあると言われています。現代に至るまでに残された自画像は他の作品を調査検討する上でも大切な足がかりの一つとなっています。