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ポスターは屋内屋外問わず壁や柱などに掲示して広告や宣伝をするもので、古くはビラの類を含めれば古代国家の民衆への告知にまで遡ることができます。大量印刷を前提とした今のポスターの形になったのは、ゼーネフェルダーによって石版印刷が発明されたころからです。石版印刷は様々な改良を経て、色彩を駆使した多様な表現を可能にし、印刷時間を短縮、印刷費のコストを抑えることができるようになりました。こうした技術の発展がポスターデザインの発展にも寄与したと考えられています。

デザイン意識を伴ったポスターが生まれるのは1870年ごろのフランスでシェレによって石版多色刷りが制作されるようになったためで、その色彩の多さはパリの街並みを色鮮やかに彩りました。1890年代にはミュシャやロートレックなどがそれぞれ独自の表現技術を展開しました。ミュシャは当時のアールヌーヴォーの影響を受けた自然にインスピレーションを受けたやわらかな曲線を用いてサラ・ベルナールのポスターを描き、一世を風靡しました。パリのロートレックは大胆な構図で優れた作品を多数残しました。イギリスではオードリービアズリーやダドリーハーディーなどが活躍しました。

20世紀になると工業化社会が成熟し、ビジネスの宣伝のための宣伝広告の媒体として幅広く用いられるようになりました。写真の技術もそのころ目覚ましい発展を遂げ、写真製版の技術もそれにともなって発展していきました。戦時中こそ、その表現活動に影を指すことがあったものの、戦後ベン・シャーンやサヴィニャック、日本では杉浦非水や北野恒富らが商業デザインの分野で活躍し、ポスターの表現を発展させていきました。近年さまざまな広告媒体が発表されていますが、ポスターはその芸術性の高さからその地位を不動のものにし続けています。