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宗教画とは聖人や聖典における一節を描いた作品のことを指します。イスラム教や原始仏教では偶像崇拝が禁止されていたため、後に装飾文様や曼荼羅といった形で発展しましたが、キリスト教では布教のために宣教師たちが図像を用いたため主要なジャンルとして確立するほどに発展しました。ヨーロッパでは近代に至るまで識字率はさほど高くなく、教会に通う信者たちに聖書の教えを伝えるため、一節を表現した壁画やステンドグラスを用いていました。特にステンドグラスの場合、光にあたった時の神々しさからその効果はより大きなものであったことが予想できます。

キリスト教の宗教画として有名なのは、大天使ガブリエルが聖母マリアにキリストが宿ったことを伝える《受胎告知》や、世の終わりにキリストが裁定を下す《最後の晩餐》、《東方三博士の来訪》などがよく描かれ、キリストは髭を生やした壮年の男性の姿で描かれる、あるいは聖母マリアは青いベールをつけた若い女性の姿で描かれるなど徐々にルールが定まるようになりました。これは汎用性の高い決まりごとで統一することで、キリスト教の普及の後押しになったと考えられます。

こうした流れは主に西ヨーロッパで広まりましたが、東ヨーロッパではまた異なる宗教画が広まっていました。イコンと呼ばれるもので、キリストや聖人、天使や聖書における教えを描いたものです。板絵のみならずフレスコ画や写本挿絵、モザイク画など多様な形状をとっており、聖画像とも呼ばれています。7世紀に一切の宗教画を用いないイスラムに影響され、イコンを否定する動きが広まりました。730年にはレオ3世によりイコン禁止令が発令され、それまでに制作されたイコンはほとんどが破壊されてしまいました。

このようにそれぞれの宗教でその教えにより宗教画はさかんになることもあれば、否定されることもあり、破壊される運命を辿った宗教画もありました。そういった意味で宗教とその次代の社会情勢を如実に表したのが宗教画であるといえるでしょう。