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版画は印刷を行う紙に彫刻や細工を施した板を作り、インクを塗って転写することによって複数枚の作品を制作する技法です。大きく凸版画、凹版画、平板画、孔版画の４つに分けることが出来ます。凸版はインクをローラーなどで版の出っ張った部分に付着させ、版にバレンやプレスで押し付けることで紙に写し取る方法です。こうした方法から版の材料としては加工しやすいものが好まれ、木材やゴム、リノリウムなどがよく使用されます。版の出っ張った部分が原画を左右反転した胸像に成るように制作する必要があるのも、凸版画の特長の一つです。

凹版画は、版の凹部で図柄を構成する方法です。西洋美術の世界ではもっとも広く用いられた版画技法であり、とりわけルネサンス以降銅を版材とする銅版画において多くの製版技法が開発、蓄積されてきました。凹版画はまず版全体にインクをのせた後、これを布などでふき、凹部にのみインクを残します。この版と髪を重ねて圧力をかければ、凹部のインクが転写されて完成します。凹版画の場合製版の手順が複雑で、その技法はエングレービングやドライポイント、エッチング、アクアチントなどの技法に分かれています。

平版画は石版画、リトグラフと呼ばれているもので、油が水を弾く原理を利用するものです。1798年ごろアロイス・ゼネフェルダーが偶然原理を発見し、以降ロートレックなどが芸術性の高いポスターをこの方法で描いてきました。以前は巨大な医師に描いていたことから石版画と呼ばれていましたが、現在では専用のアルミ板などに油分の強いチョークやクレヨンなどで描き、アラビアゴムや薬品を塗って版を作ります。

孔版画はインクが通過すると穴とインクが通過しないところを作ることで製版し、印刷する技法のことです。よく知られているものでは、ステンシルやシルクスクリーンなどがあります。こうした版画は身近な材料で作ることが可能なことから人気があり、現代もなお新しい表現を作り出すために注目を集め続けています。