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絵葉書とは郵便はがきの裏面に絵画や写真を描いたもののことを指します。1869年にはオーストリアにおいて郵便はがきがはじめて発行されましたが、その翌年にははがきに簡単な絵を印刷したものが現れるようになりました。1870年の普仏戦争に絵入りの慰問はがきがフランスやプロイセンでつくられ、同年ドイツのシュワルツが官製はがきに兵士と大砲を印刷したものが一般に最初の絵葉書であると言われています。風景を印刷したものとしてはチューリッヒのロシャーによるものが最古であると言われています。1875年には絵葉書が商品として発売されるようになり、欧米において近況や旅の様子を伝えるのに便利な絵葉書は、徐々に広まっていきました。

日本においても1890年には官製はがきに絵を描いたものが使用されるようになります。しかしこのころはがきの私製が認められなかったため、流行には至らなかったようです。1900年私製はがきが認められるようになると、これに貼る切っても発行され、絵葉書の制作が容易になったことから民間の業者が全国の名所絵葉書や年賀はがきなどを制作、販売するようになりました。1902年には万国郵便連合加盟25年を記念して６種類の官製絵葉書が発行されるようになります。日露戦争においては士気を高めるため戦役記念の絵葉書を選挙区の進展に応じて次々と発行するようになります。

戦争が終わると陸海軍の凱旋を記念する絵葉書も発行され、空前の絵葉書ブームが起こるようになりました。絵葉書発売の当日郵便局の前には長蛇の列が並び、負傷者もでる騒ぎとなりました。その後皇室や国家の大きな出来事があるたびに発行され、さまざまに趣向を凝らしたものが発行されるようになりました。

もっとも身近な美術作品である絵葉書。お祝いごとで発行することもあれば、プロパガンダとして用いられることもあったその歴史を紐解くと、当時の社会情勢をもっとも如実に表しているものの一つとも考えることができるかもしれません。