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溶接棒とは溶接作業の際に、母材を接着させるために使用する溶加材の事を言います。母材をしっかりと接合するためには、溶接方法や母材に合わせた溶接棒を選択する必要があります。そもそも、この溶接をするために使用する溶加材の用途は、溶接の強度、母材との接合部分の外観を美しくする役割があります。その際に良く使用されるのが溶接棒です。ただ一般的には溶接棒と聞くと、溶接時に使用する単なる工具のひとつという認識が強いかもしれません。

溶接棒には様々な種類が存在します。業界では溶接棒の事を被覆アーク溶接棒と言われていますが、センター部分に使われるスラグ剤やガス発生剤などのフラックスの種類により、溶接棒の種類を分類しています。因みにフラックスの種類には、イルミナイト系、ライムチタニア系、低水素系、高酸化チタン系と言われる4大系列となります。

イルミナイト系はチタンと鉄の酸化物を結合した鉱物を主原料としています。メリットとしてスラグの流動性が良く、機械的性質が良い点が挙げられますが、デメリットとして水素が多いため厚板や大きい構造物には向きません。

ライムチタニア系はライムとチタンを主原料としています。メリットとしてアークは穏やかでスラグの流動性が良く、多孔質なので溶接がし易い点が挙げられますが、デメリットとして耐プローホール性が劣るため、放射線透過試験が要求される場合は注意が必要となります。

低水素系は炭酸カルシウム、フッ化カルシウムを主原料としています。メリットとして水素量がどの溶接棒よりも最も少なく、強力な脱酸作用があり酸素が少ないため、機械的性質や溶接作業に優れている点が挙げられますが、デメリットとして湿気に弱いです。高酸化チタン系は高酸化チタンを主原料としています。メリットとして光沢のある外観に仕上げる事が出来ますので、外観重視、軽構造物の溶接に適していますが、デメリットとして機械的性質に劣るので主要部分の溶接には不向きです。