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しばしばたこ焼きと混同されがちな明石焼き。大阪発祥と言われているたこ焼きに対して、明石焼きは名前の通り兵庫県の明石が発祥の地です。小麦粉を出汁で溶いて、中にたこを入れて焼き上げ、最後にとろりとした甘辛いソースをぬって提供されるたこ焼きと異なり、明石焼きはもっとシンプルです。明石焼きは、故郷の明石では「玉子焼き」と呼ばれています。つまり、明石焼きには生地に卵が使われていてコクがあり、さらに食べるときには濃い味のソースではなくだし汁に浸して食べます。だし汁を使いだした理由としては、熱々の生地をだし汁で冷やして食べやすくするためだったようです。

このように、味や材料でたこ焼きと明石焼きには違いがあるのですが、実は焼き上げる機械に大きな違いがあるのです。明石焼きを作る風景を実際に見ると一目瞭然ですが、まず明石焼き器の鉄板は銅製で赤く輝いています。たこ焼き器の鉄板が一般的に鋳物で黒いのと比べると、目を引く鮮やかな色合いです。銅製であるため、たこ焼きのように先のとがった金属製のピックを使うのは厳禁です。なぜなら、銅は鉄よりも柔らかいため、金属製のピックで簡単に銅板の表面を傷つけてしまうからです。明石焼きを返す際は、菜箸など木製のものを使って銅板を傷つけないようにしましょう。

また、明石焼きの特徴は何といってもふんわりとした生地の柔らかさにあります。極力柔らかくふんわり焼き上げた明石焼きは、返すのに苦労します。しっかりと焼き上げるたこ焼きと異なり、焼き上がりの状態が柔らかい明石焼きは、返すためにもある工夫がされています。それは銅板に柄がついているのです。この柄を使って銅板ごとひっくり返すことができ、柔らかく焼きあがった明石焼きは一度に型から外すことができます。このとき、焼き上げた明石焼きを寿司げたのようなもので受け止めるのも、明石焼きの特徴の一つでしょう。たこ焼きとは違う明石焼きの魅力は、焼き上げる機械の違いでもあるのです。