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うどんはしっかりと100度に達して沸騰した湯で茹でなくてはいけません。100度以下の湯で茹でてしまうと、決められた時間内にうまく茹で上げることができず、芯が残った麺、あるいは麺の表面だけに熱が入りすぎて、ドロッとした触感の麺になってしまいます。あとで冷水でしめる場合に、表面だけが柔らかくなっていると、麺の表面が冷水と一緒に流れてしまいます。また、湯の温度が低いと、麺同士がうまくほぐれることなくくっついてしまい、ダマなってしまう原因にもなります。うどんを茹でる湯というのは、何度も使って汚れてくると、100度に到達する前に沸騰してしまい、理想の温度帯で麺を茹でることが難しくなってしまうのです。

そのため、うどん専門店ではうどん釜と呼ばれる、大型の湯を沸騰させる機械が必要になります。この機械は常に湯を沸騰させ続け、うどんの茹で上げに適した100度のお湯を維持します。湯が汚れることを防ぐため、常に新しく100度まで熱せられた湯を供給します。また、うどん釜内の湯に常に流動性を持たせることによって、釜内部で麺同士がくっついてしまうのと、釜側面にくっついて焦げ付いてしまうのを防ぎます。近年のうどん釜では省エネ技術が発達しているので、従来のものに比べて少ないエネルギーで湯の温度を確保します。絶えず100度に維持した湯を必要とするうどん釜は、機械からの放熱で店舗全体の室温を上げてしまう可能性があるので、

室温設計においてもうどん釜からの放熱量を抑えることは重要なポイントになります。釜揚げうどんなどは茹で上げたうどんをそのまま提供することができますが、ざるうどんなどは茹で上げてから冷水で麺をしめる必要があるため、冷たいうどんの提供がより簡単にできるよう、冷水槽が横に設置されているタイプもあります。

湯を高温のまま維持するもう一つの利点として、出汁を自分で引く場合にうどん釜で高温の湯を大量に用意できるという点があります。鰹節などを使って出汁を引く場合、うどんを茹でるのと同様に、湯が高温である必要があります。一度作ったうどん汁も、うどん釜で保温しておくことが可能なので、うどん釜の使用用途は多岐にわたります。