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磯井如真とは1883年に香川県宮脇村に生まれた人で、明治36年に香川県工芸学校漆工科を卒業した後、大阪の山中商会というところで中国の美術工芸品の加工、修理に携わり、さまざまな工芸技術を習得。帰郷した後は玉楮象谷の遺作を通して彼独自の研究を行い、1913年、凸版印刷をヒントに点彫りきんまを発明しました。これはそれまでの線彫りにはない奥行き、立体兼を出すことにより、きんまの新しい表現方法を生み出しました。

1927年に帝展に工芸部が置かれると、彼は卓越した意匠と造形力によって素晴らしい作品を発表。帝展、新文展を舞台に活躍したのち、1938年に第2回新文点で特選入賞を果たします。特に1931年の第12回帝展に出品したとされる彫漆草花文　鼓箱というのは、彫漆と点彫りきんまを併用したもので、彼の出世策とも言われています。

また、彼はさまざまな加飾技法を生み出し、新しい材料であるレーキ顔料によって白から紫にぼかして塗り重ね、透明なカットグラスのような質感を生み出す技法や、堆漆板で作った文様を機って器胎に貼り付け、立体兼を出すといった技法などを生み出し、創造性豊かな技と素晴らしい造形感覚には讃岐漆芸の粋を見出せます。

彼は高松で讃岐漆芸を近代化するのに尽力、讃岐漆芸中興の祖とも言われ、1956年になるときんまで国の重要無形文化財保持者として認定されています。彼は高松の漆芸文化を向上させるため、工会というものをほっそくさせ、母校や研究所などといった場所で後進の指導に尽力したことでも有名です。

彼の代表作としては「蒟醤草花文八角食籠」などがあります。また、「彫漆草花文鼓箱」は讃岐漆器の基礎を作った玉楮象谷の鼓箱をヒントに、彼独自のアイデアで草花の模様をあしらって、ヨーロッパの新しいデザインを取り入れて作った代表作です。高松市美術館では彼の初期作品から晩年のものまで約80点の作品が展示されていますので、もし機会がありましたら一度ご覧になってみて下さいね！