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横浜市港北区ゆかりの陶芸家、加藤土師萌についてご存じでしょうか？ここでは、その加藤土師萌について書いてみたいと思います。加藤土師萌は1900年に愛知県瀬戸市に生まれ、ここは瀬戸焼で大変有名なところでした。彼の本名は一（はじめ）と言い、かなりまじめな人だったようです。はじめではなくまじめと言われたほどだと彼についての書籍には記されています。

もともと彼は画家を目指していて、愛知県陶器学校の図書科で勉強したあと、岐阜県多治見市に移り住み、岐阜県陶磁器試験場で技師として働き、図案を改良したり、陶磁器の材料や製作技術の研究を行いながら作品を発表していきました。1937年になると、パリ万博に出品したうちの「指描沢潟文大皿」が大賞を受賞したのですが、戦争が起こったため兵役につくことになりました。

日本に帰った後、独立をめざしていた彼は1940年に日吉に移住して日吉窯を開きます。このとき、現在も横浜市に本社のある大蔵陶園の大蔵氏が協力してくれたことは有名です。彼が日吉に移住した頃の日吉という場所は今のような住宅地ではなく、畑が続く何の特徴もない場所だったそうです。彼はこの時家族を寂しい場所に移住させるのが不憫だったとあとで回顧しています。

その後、彼は初めて個展を開催しますと高く評価され、陶芸家として有名になっていきました。さらに、東京芸術大学の教授となり、1961年に人間国宝となったのです。ですが、港北市役所に尋ねてみても、加藤土師萌に関係した史跡などは現在残っていないそうです。日吉窯があったとされる場所を歩いてみても、何かしら碑のようなものがあるわけでなく、ごく普通の住宅街があるだけです。そのあたりで聞いてみても、窯が作られたのは70年以上も前のことで、窯があったころを知っている人はいるにはいますが、それ以上のお話を聞くことはできないようです。彼は港北区ゆかりの人間国宝ですので、もう少し何か残っていればいいですね。

そんな彼の代表作として、陶盃があります。機会がありましたらぜひご覧になってみてください。