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玉川宣夫は木目金の技法を使った作家として有名です。では、木目金とはいったいどのようなものなのでしょうか。

木目金とは、400年も前の江戸時代に誕生した金属の色の違いを使って木目上状の文様を作り出す日本独特の特殊な金属加工のことを言います。銘木の一つである鉄刀木に模様が似ているため、タガヤサン地とも言われており、また霞打とも言われています。出羽秋田住正阿弥伝兵衛が倶利彫りの技法を発展させて、この木目金作品と言われている小柄を作りました。この小柄というものは金、銀、銅、赤銅などを張り合わせたものを木目肌に鍛える技法で製作され、謂所や金杢、杢目銅などとも言われています。

ところが、廃刀令の後、武士が刀を国へ返したことで、木目金の技術は廃れてしまったのです。木目金はこのようにいったん廃れてしまったのですが、また復活し、また廃れてしまった、という不思議な技法です。この特殊な技法に魅了された作家たちにより伝承される幻の技術と呼んでもいいでしょう。

なお、文献によると、長い間途絶したままになっていたのが明治時代異国に新藤鐵治の長年にわたる研究や努力によりやっとその復元ができたそうです。さらに、同時期である明治末期、東京美術学校鍛金部の教授であった平田宗幸や、彼の弟子である吉田宗入斎、渡辺萬里により研究されました。ですが、吉田宗入斎は一歩技術を勧めて金、銀、朧銀や赤銅などといった融点が違う金属を使って木目金を作って成功してますが、死去して以来その技法も途絶えてしまい、と文献にあるようにその技法は途絶えることとなりました。

その後、東京芸術大学の教授である伊藤廣利氏が木目金を使って精力的に製作、発表を行っていたのですが死去してしまい、現在では新潟県の玉川宣夫や、秋田県の千貝弘、根田雄一郎などによって、伝統工芸を中心に製作発表されています。特に玉川宣夫は世界的にも木目金の第一人者と言われており、彼の代表作品には木目金花瓶、木目金壷、木目金湯沸などがあります。