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現代の無明異焼で有名な人に５代伊藤赤水がいますが、伊藤氏は1972年に日本伝統工芸展に初入選し、1977年には赤水窯を受け継いで5代目を襲名しています。

彼の技法で特徴的なことは、今までの朱泥一色だった無名異焼に窯変をともなったものと、練り上げを取り入れている点でしょうか。なお、窯変とは炎の状態により生まれる変化のことで、炎の状態とは十分に酸素が供給された酸化焼成や、酸素があまりない状態の還元焼成などがあります。このような酸素の状態や炎の強弱により、作品の仕上がりに変化が起こるようです。

酸化炎～中性炎で焼いたところは朱色になり、還元炎で焼かれた部分は黒くなります。朱泥に黒い窯変が出た場合は不良品とみなされることが多かったようです。ですが、朱色を引き立てる色として黒い窯変を良品として取り入れたものが窯変作品であり、単純に焼いただけでなく黒く窯変した部分は胎土より鉄がたくさん含まれている化粧度による発色とも考えられています。

次に、色が違う粘土を使った練り上げについてご紹介しましょう。まず、いくつかの色の粘土を重ね合わせ、その粘土の断面部はいくつかの色と模様が現れ、練り上げのモチーフは花紋が代表的とされており、色彩豊かな文様を見ることができます。

伊藤氏は2003年に国の重要無形文化財である無名異焼保持者の認定を受け、彼はそれまでのシンプルな朱泥作品と窯変と練りあげを融合して新しい無名異焼を誕生させたのです。無名異焼を詳しくご説明しますと、新潟県佐渡市で作られる陶器のことで、はじまりは江戸後期の弘化年間と言われており、相川町の7代目である伊藤甚兵衛が無名異焼を陶土に混ぜ、楽を焼いたそうです。最初の頃は素焼きの楽茶碗や日用品などといった軟質陶器だったようですが、明治になると初代伊藤赤水や、初代三浦常山などにより、現在の硬質の無名異焼になっていきました。

なお、この伊藤赤水の無名異焼の代表作としては、扁壷　佐渡ヶ島などがあります。