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島岡達三は組みひも師である島岡米吉の子どもとして東京で生まれます。組みひもとは数本の紐をより合わせ織った紐のことで、のちの縄模様につながる重要な生い立ちとなりました。

19歳のころに彼は目黒の駒場にある日本民藝館で見た作品に感銘を受け、民芸運動の中心メンバーである栃木県益子町の濱田庄司を訪ね、島岡氏は益子町に移住し彼の門弟として技を磨いていったのです。 その後、栃木県窯業指導所に勤務し、そこで古代の土器の標本を製作するなどといった縄文土器の知識を深めていき、移住してから7年後に独立して窯を持ちました。

この当時、縄文象嵌の基礎はできており、すなわち縄文との組み合わせということですね。縄の文様は生まれた家での実体験と、あとで縄文土器の復元に携わったことで得ており、さらにその技術は民芸に感動した経験から李朝の三島手などからヒントを得たそうです。このように、縄文象嵌に加え、白い窓絵を設け中に赤い絵で描いたり、青や黒の土を使うなどといった別の技法との組み合わせも試しており、釉薬は透明の並白釉薬を使っていました。これは灰釉の一種であり、益子では一般的な釉薬です。このような独自の技法の他に濱田氏の影響も受けており、たとえば、ろうそくで白抜きした窓絵だったり、釉薬を流しかけたり、柿釉のほかに鉄釉や赤絵の筆致などといった濱田氏の作風を活かしながら、島岡氏の作品には独自の温かみがあります。

濱田氏に続き彼は1996年に国の重要無形文化財保持者となります。実家で組みひもから会得した技を縄目模様で表現し、象嵌と組み合わせて独自の境地を見出した彼は、用の美といった命題において益子町で一つの作風を確立したと言っても過言ではありません。

そんな島岡氏の代表作と言えば、窯変象嵌縄文壺（ようへんぞうがんじょうもんつぼ）、鐵砂釉象嵌草花文角平皿（てっさゆうぞうがんそうかもんかくひらざら）などがあります。ぜひ、機会がありましたら一度ご覧になってみて下さいね。