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川北良造は1934年に石川県加賀市に生まれ、父である川北浩一や木工芸作家である氷見晃堂に師事し、木工の中でも挽物技法を習得しました。1962年には第9回日本伝統工芸展に初入選し、その後、日本伝統工芸展日本工芸会会員賞や、鑑査委員などを歴任した後、62年になると日本花器茶器美術工芸展東京都知事賞を受賞し、1990年には伊勢神宮遷宮轤筥を製作しました。彼は堅実な技術を持ち、ろくろの冴えにより挽物の魅力を活かした木目のきれいな作品作りを得意としており、素材についてはケヤキを中心にクワやカエデ、黒書きやトチなどといった素材を多く使っています。

加飾については、山中という地域特有の数多くの筋挽きを自由自裁に取り入れ、縮れ象嵌やべっこう、さんごなどにより、華やかさを加えるなどといった豊富な表現方法により、山中漆器に新しい風を吹き込んでいます。最近で数多くの経験と高い技術を活かし、正倉院宝物などといった名品の復元作業にも加わっており、大徳寺聚光院の千利休が植えたとされる沙羅双樹の古木で作った茶道具の製作や、京都妙心寺小方丈古材で作った茶道具の製作なども手掛けています。彼は木材をろくろで回転させながらお椀やお盆などを刃物で作る、挽物の挽物づくりとして、初の人間国宝に選ばれました。木と向き合うことこそを最高の喜びとして、作品作りをしている彼の父は無口な人で、修業の際もほとんど何も言わなかったそうです。

彼が一人前になってきた頃、その日の一番良くできなたものを作業場に積んでおくと、それには見向きもせず、中のものを抜き取って出来が悪いと玄関先に置いておいたとか。ですが、それをされても彼は腹が立つというより、どうしてそんなことをするのか？それを拾ってきて考えたそうです。それが20歳前後の頃の話だとか。さらに、ろくろを挽くことについて特に難しいとは感じなかったそうです。なお、彼の代表作としては欅造飛筋盆（けやきつくりとびすじぼん）なとがあります。