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大澤光民の作品の特徴は、焼型鋳造の技術を伝承しながらもそこに鋳ぐるみ法と言った新しい技術を加えている点です。この鋳ぐるみ法によって、昭和59年に鋳ぐるみ鋳銅点文花器という作品で第31回日本伝統工芸展日本工芸会奨励賞を受賞し、平成12年には鋳ぐるみ鋳銅花器により、第47回日本伝統工芸展高松宮記念賞などを受賞。

大澤氏の工房に飾られている鋳ぐるみ鋳銅花器はなどの作品は、表面を彩っている赤や白、茶色などの線と点が独自の模様を織りなしており、伝統工芸に現代感覚を活かしたデザインが新鮮です。なお、大澤氏曰く、鋳ぐるみ法という技法は、鋳型を固定している鉄琴を入れたまま着色所に渡してしまった、という失敗から生まれた技法だそうです。本来であれば鋳型から外す鉄筋が着色用の液に浸されて化学反応を起こして、茶色の光を放ち浮かび上がります。異質の金属を鋳型に埋め込むことにより、ユニークな模様ができる、と鋳ぐるみの技法を見つけた瞬間だったそうです。

なお、大澤氏は伝統技術を伝承しつつも時代にマッチした感覚や、美しい自然をみずみずしくとらえた感性を大切にしているそうです。銅線の赤は太陽を、ステンレスの白は水をイメージしているそうで、朝日や夕日の美しい景観や、太陽と水が生み出す命の不思議な形に常に感心し、同じ畑や土で育ったものであってもその形や色はさまざまです。そんな自然の不思議さやすばらしさ、人間愛やぬくもりを伝えたい、と考えているそうです。また、彼は、常に初心を忘れず精進し続け、謙虚でありながら一生懸命に仕事に向かっていきたい、とも考えています。

約400年の歴史を持ち、日本一のシェアを誇る高岡銅器ですが、最近は売り上げも落ち込み、若手育成の問題など課題も多いです。大澤氏が人間国宝に認定されたことをきっかけに、ものづくりの街である高岡に新たな息吹が吹き込まれることでしょう。この大澤光民の代表作品としては、鋳ぐるみ花器「宙擁」（いぐるみかき「ちゅうよう」）などがあります。