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江里佐代子は日本の截金師で、1945年に生まれ、2002年には截金の分野において国の重要無形文化財保持者に認定されました。夫は仏師である江里康慧です。子どもは同じく截金師の左座朋子。京都市生まれで大学において日本画や染色などを学び、夫と結婚したことを機に截金師である北村起祥のもとで截金の技法を習得しました。

截金というのは平安期以来の伝統ある技法であり、仏像彫刻や仏画の彩色面などに使われており、目を奪われるような素晴らしい装飾効果が特徴となっています本来は仏像の荘厳技法であったこの技法を飾ばこや棗、香盒、結界、屏風へと応用し、その可能性を広めていきました。さらに、日本伝統工芸展においては日本工芸界総裁賞を受賞し、日本経済新聞社賞や高松宮記念賞、京都工芸美術展においては市長賞などを受賞し、夫との二人展である「仏像と截金」なども開催して截金の認知度を高めていきました。

また、京都造形芸術大学と龍谷大学において客員教授を、東京芸術大学院では非常勤講師を務め、截金の普及に尽力しました。2002年になると全国最年少で重要無形文化財保持者に認定され、さらに夫と共に京都府文化功労賞を受賞し、建築や寺院の壁面、空間装飾などといった仕事も多く、京都迎賓館では伴さん質である藤の間の舞台扉である響流光韻（こおるこういん）に截金を施すなど、活躍を続けていました。後進の育成やさらに作品の製作を行い、ロンドンにある大英博物館において開催中の作品展で実演と講演を行った後、調査のため訪れたフランスのアミアンという地で62才の時に死去しました。

なお、彼女の代表作として、截金彩色飾筥「花風有韻」（きりがねさいしきかざりばこかふうゆういん）があります。神代杉という八角の筥の内の内は、五段の中子がありそれぞれ可憐な文様が截金によって施されており、外側のデザインは風の音や水の流れ、花の香りなどをイメージした、華麗な文様で装飾されています。このような形と文様の調和が見る人に心地良い響きを与えているのです。