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金城次郎という作陶家をご存じですか？金城次郎とは沖縄県那覇市出身の作家で、13歳の頃から陶業を行っており、壺屋の名工と呼ばれていた新垣栄徳氏に師事しました。

新垣氏は益子の濱田庄司氏が沖縄を来訪した際に壺屋焼きを説明した人物で、さらに弟子の金城次郎を彼に紹介しました。なお、壺屋には濱田の他に河井寛次郎や柳宗悦などといった民芸メンバーも訪れ、壺屋焼を絶賛。金城氏は民芸思想にもかなり影響され、李朝時代の陶磁器にも造詣が深かったようです。終戦後である1946年になると、金城氏は壺屋に窯を開きました。その後、沖縄でもっとも大きな美術展だとされる沖展や、大正時代から続いている公募展である国展などにおいて受賞しました。1970年になると煙害により那覇市が薪窯を規制したため、1972年に読谷村座喜味という場所に移転しました。

彼は鉄分の多い赤土で形を作り、その上に白化粧とエビや魚などが描いてあるような作品で有名です。これは化粧土にイッチンで描くか、または逆に工具を使って描き落として線彫りして作ります。琉球陶器と言うと彼の海老紋や魚紋をイメージする人も多いでしょう。こういった模様や飾りが特徴的な彼の技法です。

そのほかにも指で装飾や釉薬を流しかけたり、益子や小鹿田のような技法も彼の技法とぴったり合っています。さらに釉調についてですが、彼の作品は線彫りの深めのみぞが釉薬の濃淡を生み出し、これはイッチンでも同じことで、器面の凹凸によって呉須の青や、真鍮の緑釉の色の繊細な濃淡を見せており、どうして青が濃すぎないかと言うと黒い釉薬を混ぜているからです。黒い釉薬は黄色い土と灰を混ぜて作ったもので、飴釉や蕎麦釉にもなるものです。壺屋においてはよく使われている釉薬と言えるでしょう。

なお、彼の代表作としては双魚文水滴があります。この作品は素朴でありながら力強い作品で、見事な焼き上がりです。この機会に彼の作品をぜひご愛蔵してみてはいかがでしょうか？