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肥後象嵌の技法で有名な米光光正という人をご存じでしょうか。ここでは、この米光光正の略歴と代表作品などについてご紹介しましょう。

肥後象嵌の伝統を継承している人間国宝の米光光正氏は、1888年に熊本市に生まれ、本名を太平と言います。1903年に熊本高等学校を卒業後、叔父である吉太郎に師事し、厳しい指導のもと修業を積み、それ以降77年にわたって象嵌一筋に生きたそうです。なお、肥後象嵌は1578年に加藤清正に従って肥後に入った終わりの鉄砲鍛冶である林又七に始まって、幕末の名工だった神吉楽楽寿や門人田辺保平経て、光正の師である吉太郎に受け継がれました。

技法としては鉄地に金銀銅をはめ込んで、鉄砲や刀鐔に施されてきたのですが、明治の廃刀令によって廃止され、花瓶など装身具や置物にも象嵌が生かされました。こういった現代工芸への発展の礎を作ったのが吉太郎だったのですが、光正は師のもとで修行するいっぽうで、若い時期に書道や絵画、茶道や生け花など、諸芸を学んでいたそうです。光正と名乗るのを許されたのは、1917年29歳の頃で、翌年の1918年の頃から1937年の頃にかけ、商工会主催の全国工芸展で何度となく入選。40歳代の時独立を果たします。

戦後60歳頃から後継者の育成に取り組み、71歳の1959年頃には熊本県の無形文化財として認定され、1965に重要無形文化財である「肥後象嵌・透」の技術保持者として人間国宝に認定されます。さらに翌年には勲五等雙光旭日章を受賞。

この頃から円熟した時期に入り、「鉄地丸形破扇桜紋散象嵌鐔」、「鉄地丸形吉野竜田透桜唐草葛菱繋象嵌鐔」、「鉄地丸形四ツ蕨ヲ透桐唐草象嵌鐔」、「鉄地左右蕨手透桐九曜桜二重唐草象嵌鐔」などといった多くの名作を作って1979年には「鉄地八ツ木瓜形天竜透渦巻象嵌鐔」を発表しました。1980年3月に逝去するのと同時に勲四等紫綬褒章を受賞しました。

いかがだったでしょうか。以上が米光光正についてでしたが、この機会に彼の作品をご覧になってみて下さいね。