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中村精密は、かつて日本にあった鉄道模型メーカーです。 70年代が全盛期で、ナカセイという愛称で鉄道模型ファンに親しまれてきました。 廃業した今でも多くのファンがおり、中古品の中にも高値がつく商品も少なくありません。

1979年から1989年に輸出向けの製品を生産しており、HOゲージのペンシルバニア鉄道のGG1形電気機関車を発売。 この鉄道模型は流線型の車体をしておりプレスの一体成型にするなど、当時の他社メーカーにはない製造方法が話題を呼びました。 他にも、国鉄の客車や貨車をプラスチックの射出成型キットとして発売したり、1978年のC11形蒸気機関車キットはホワイトメタルを使っていたりするなど、その当時としては珍しい素材や製造方法を積極的に取り入れていたのです。

小田急電鉄のデハ3100キットでは、基本の6車体セット、中間5車体のセットで販売しており、当時は人気車両とはいえ、私鉄電車をここまで大規模な製品にしたのは画期的と評されたこともあります。 他にも、画期的な試みとしてキットに1万円の塗装サービス券をつけるなどして、車両の難しい塗り分け塗装に合わせ、ユーザーへの配慮も行っていました。

その後、私鉄特急電車としては名鉄7000系や京成AE車スカイライナー。東武1720系など、さまざまな車両を模型化していきます。 1980年にはC51形蒸気機関車の完成品とカスタムキット、バラキットの3種をNゲージスケールで併売したこともあります。

中村精密の模型の特徴であるディティール全てが一体成型になっている商品は、後から別途パーツを取り付ける必要がないのが最大のメリットと言えるでしょう。 そのため、作り手からしてみれば組立が簡単で素人でも多くの道具を必要とせず、短時間での完成が見込めます。 また、金属製の素材が使われていても、一体成型のためプラスチック製キットのような仕上がりが特徴。 特に蒸気機関車の造形が好評で、動力方式にはテンダードライブが採用されています。 このように、当時としては画期的な試みの数々を行ったことで、今でも多くのファンがいるのが中村精密というメーカーなのです。